エアコンの効いた快適空間。そこで僕は、あと少しで倒す事の出来る学生の敵、宿題に立ち向かっていた。自由研究は姉に少し手伝って貰いながらではあったが無事に終了し、部屋に放置している。あとはこのドリルだけだ。
「ねえ、ちょっと」
不意に呼びかけられて、僕はバッと顔を上げた。姉が相変わらずの無表情で僕を見下げている。
「携帯、鳴ってた。メールじゃない?」
はい、と携帯を渡される。確かに着信を示す光が点っていた。
「ていうか冬姉、いつの間に部屋に……」
「ちゃんとノックしたのに返事しないから。そんなに熱心に宿題をやっている小学生なんてあまりいないと思うけれど?」
「早く終わらせたいんだよ。そういうものだってば」
「そう。じゃあ頑張って」
淡々とした声で姉は言い、部屋を出て行った。
「誰からだろう?」
パコン、と携帯を開く。僕の携帯はいわゆるキッズ携帯というやつで、微妙にちゃっちい感が漂っている。
(零のやつは普通の携帯なんだよなぁ)
樹もキッズ携帯だったけど。
「……零から?」
珍しい、と思いながらメールを開く。内容は、四日後にある夏祭りのお誘いだった。行かないか、という事と、日時と待ち合わせ場所だけが書いてある。相変わらず簡素な内容である。
(夏祭りか……)
夏祭りは好きじゃない。だけど―――
(小学生最後の夏休み、だもんなぁ)
そりゃあ、夏祭りなんて来年も行けるだろうけど。
(樹の気持ち、わからないでもないな)
最後の夏休み、という響きは絶大である。それがたとえ小学生最後、であったとしても。
(来年からは小学生じゃないしね)
射的などは値段が変わる。金魚すくいのサービスも、一匹減る。
「……行こうかな」
―――最後の夏休み、なのだから。
...ⅵに続く
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