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せんそうとへいわ
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 掃除を終えて家へ帰ろうとしたとき、女子のいじめを目撃した。僕は思わず立ち止まり、じっとそれを見つめた。


「うっは、きたねー」


「死んじゃえばぁ?」


「細菌じゃん」


 罵倒し続ける少女たちの中には、暴力を振るっている者もいた。殴る、蹴る、そういった鈍い音と少女らの暴言が響いている。


 ざっと、六人。リンチされている子の姿は、その六人に囲まれているため見えなかった。


 可哀想に、痛そうだな。てか、うちのクラスメイトもいるよ。


 しばらくすると、六人の女子が唾を吐きながら帰り始めた。どうやら今日はもうやめるらしい。


 全員が立ち去ったのを見届けてから、僕はうずくまっている少女に歩み寄った。


 地面にインク切れのペンが転がっていた。よく見ると、少女の制服のいたるところにインクが染みを作っている。これは、なかなか落ちなさそうだな。そう思いながら、僕はその少女に声をかけた。


「大丈夫? 柏木さ(・・・・)


 いじめられている少女が、同じ小学校で隣のクラスの柏木さんである事は、最初から気付いていた。気付いていたからこそ、止めなかったのだ。


 彼女はいつだって“される側”で“救われる側”だ。時には能動的になればいいものを。


 顔を上げた柏木さんは、それはもう酷かった。制服はインクと土と砂まみれで、髪の毛はボサボサだし、痣が幾つも出来上がっている。


「大丈夫そうに見える……?」


見えるけど(・・・・・)


 迷わず即答。彼女は曖昧な表情を浮かべた。


 す、と手を差し出すと、柏木さんは躊躇いもせず僕の手を握り立ち上がった。立ち上がったと同時に、すぐさま僕の手を離し制服をはたいた。まるで僕の手を触ってしまってけがれた、と言わんばかりの顔をしている。酷いなぁ。


「やっぱり、大丈夫そうだね」


「慣れているもの」


「そうだね。で、どうするの?」


「どう、って?」


「やり返したりとか」


「しない。私がやらなくても、いつか他の誰かがやってくれるから」


 よくわかっているじゃないか。


 僕は見下した眼で柏木さんを見た。こんなんだから、いじめられるのだ。細菌と呼ぶ気持ちがわからないでもない。人に不快さを与えそれを伝染させる細菌。もしくは、救ってあげたくなる気持ちをうつす。


 どちらがうつるかは、人による。たとえば僕は、不快さがうつるけど救ってあげる派だ。


 僕は溜め息を吐きながら、ネクタイを緩めた。


 柏木さんは本当に不快だ。いつも“される側”で“救われる側”。非力な兎を気取って自分は動かない。逃げるか、されるがままか、誰かに助けてもらうか、だ。


 さて、と僕は呟く。僕は柏木さんと違って“する側”だし“救う側”だ。


 さっきの六人の女の子たち。誰から柏木さんをいじめた報復を受けてもらおうか。


 それを考えて、僕は薄く笑みを浮かべると、一歩足を踏み出した。

 


 

微笑みは刃のように

(傷つけるためだけの笑み)


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