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せんそうとへいわ
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...後編


  16歳の誕生日を迎え、ソルトは“メタトロン”での地位が上がり、幹部クラスに入ることとなった。しかし、幹部クラスに入っても、今までとなんら変わりなかった。一人で任務をこなし、人を殺す。他の幹部クラスの人々にも逢わせて貰えず、ソルトは一人苦しんだ。そして、こう思うようになった。
 他の幹部クラスの奴等に逢ってしまったら、きっと仲間意識が生まれてしまう。そうしたら、俺の手で仲間を穢してしまう。だから、これで良かったんだ
―――と。
 実際はそんなはずもなく、ただヴァルヴァレス家が“メタトロン”の上の人にそう命じていただけの話だった。そしてそれを、セシルは知っていた。だがそれを言うことは許されず、もし許されていたとしても
―――セシルには、言えなかっただろう。余計悲しみを背負わせてしまうことになる、と、そう思っていたから。
 他の幹部クラスのメンバーが、新たに幹部クラスに入ったにも関わらず、一度も顔を見せないソルトに対してどう思っていたのか
―――それはまた、別の話。

 “メタトロン”の任務とは別件で、直接ヴァルヴァレスから任務が入った。とある中小マフィアを壊滅しろ、という内容だった。
「壊滅・・・か」
 気分が酷く沈んだ。壊滅させるということは、少なくとも十人以上の人間が死ぬということだ。それに加えて、いくら中小マフィアとはいえこっちは一人だ。失敗する確率が高い。失敗、つまりそれは
―――
「俺は、死んでも良いって言うことか」
 わかっていた。ヴァルヴァレスに、セシルの父に、自分がどう思われているか。重々承知しているつもりだった。だが
―――やはり、心が痛い。面と向かって死ね、と言われるよりも、ずっと。
 だが、ソルトは割り切ってしまっていた。所詮、自分は汚らわしい暗殺者。犬死にしたって誰も悲しみやしない。ならば任務で死ぬ、というほうが様になるではないか、と。
 大切な仲間が出来ないまま、死んだ方が、俺にとっては・・・良いのだ、と。

 「っ・・・は、」
 少量の血を吐き、ソルトは壁にもたれかかった。こんなことをしている場合ではないことはわかっていた
―――まだ敵は残っている。だが、体力的にも精神的にも、限界が近付いていた。
 敵は恐らく、あと数人。だがその数人が、ソルトを苦しめる。
(本当に・・・ここで死ぬ・・・か)
 
―――誰も、助けてはくれない。たった一人、孤独と絶望を。
「くっ・・・」
 眼が霞んだ。黒いわだかまりが広がる。脳内が赤に染まった。
 敵が近付いてくるのを感じた。ソルトは、ぎゅっ、と愛剣を握り締める。
(せめて、任務は成功させよう)
 そしたらヴァルヴァレスの望みどおり
―――死んでやろうじゃないか。
 
―――たった一瞬。残りの力を全て使い切るように、ソルトは、敵を全て斬り倒した。
(・・・ほら、ヴァルヴァレス)
(ちゃんとあんたらの言うとおりにしてやった)
(マフィアを壊滅させて)
(そして俺も
―――)
 
―――そして、ソルトは意識を失った。

 知らない天井だった。
「え・・・?」
 柔らかいベッドの感触。痛む身体を押さえながら、ソルトはベッドから起き上がった。
(・・・ここは、どこだ)
 知らない部屋。広い部屋だった。どうして自分がここにいるのかもわからず、ソルトは困惑した表情で部屋を見回す。
(傷もちゃんと手当てされている・・・)
 白い包帯が綺麗に巻かれ、しっかり消毒もされているようだった。血に汚れた剣も、どうやら洗われたらしく、綺麗な状態でベッドの横に立てかけてある。
 カチャリ、と扉の開く音がして、ソルトは一瞬身を強張らせた。ソルトよりも年下であろう少年の顔が現れた。
「あ、」
 少年はソルトを見て小さな声を漏らすと、扉の方に引き返していった。
「姉さん、起きたみたいだ」
 やがて、ソルトの部屋に先程の少年よりも少し大人びた顔の少女が入ってきた。さっきの少年の姉であろう、面影が少し似ている。
「傷、痛みますか? えーと・・・お名前は、」
「あ、ああ・・・大丈夫だ。俺の名前はソルト・ヴァルヴァレス」
「ソルトさんですか・・・良かった」
 少女は年相応の柔らかい笑みを浮かべて、ベッドの近くにあった椅子に座った。
「あの・・・俺を助けてくれたのは、君か?」
「ええ、そうです。因みに手当てをしたのは秦
―――あ、さっきの男の子です。私の弟」
「そう、か・・・有難う。その、弟君にもそう伝えておいてくれ」
 この少女が自分を助けてくれたのか、とソルトは思った。でも何故、裏社会とは縁のなさそうなこの少女が、あの場に
―――あの、惨劇の場に? たまたまあの屋敷にいただけだろうか、マフィア関係ではなく訪れていた可能性だってありえる。
「驚きました。あのファミリーを倒したのは、貴方ですよね? たった一人で、こんな傷だらけになって・・・」
 
―――ファミリー。それは、マフィアを指す言葉だ。思わずソルトの顔が驚きに変わる。
「君、は・・・マフィア関係者・・・なのか? まだ、そんな幼いのに・・・」
「ええ。そうですね、普通は驚きますよね。でも、もっと驚くと思いますよ」
 
―――私は、ヴェンタッリオファミリーのボスです。
「ヴェンタッリオファミリー・・・の、ボス・・・?」
 名前だけは、聞いたことがあった。確か、イタリアの超最大手マフィアの同盟ファミリーだ。そのヴェンタッリファミリーのボスが、この子。この、優しそうな
―――柔らかい少女が、ヴェンタッリオファミリーのボス。
「・・・本当に、驚いた」
「でしょう?」
 クス、と少女は小さく笑って、そしてすっ、と真剣な表情に変わった。
―――どうしてたった一人でマフィアを壊滅させようとしたんです? いくら中小マフィアとはいえ、とても危険なことです。私がたまたま助けなければ、死んでいたのかもしれないんですよ?」
「・・・・・・任務で、な」
「任務・・・!? こんな危険な任務を、たった一人に背負わせられたのですか・・・!?」
 その反応を見て、つくづくこの子は優しい子なのだな、と場違いなことを思った。裏社会では浮いてしまうような、“純白”。
「俺はヴァルヴァレス家の人間でな、暗殺業のほうを任されている。俺はヴァルヴァレスでは邪魔者扱いされているから、こんなことはよくある」
 いつの間にか、そんなことまで喋ってしまっていた。
「そんな・・・酷い」
 少女の表情が翳ったのを見て、ソルトは言わなければ良かった、と後悔した。“純白”と評せるようなこの少女にそんな顔をされると、心が痛む。
―――ソルトさん」
 少女が顔を上げた。ソルトをすっ、と見据え、口を開く。
「ヴェンタッリオファミリーに入ってくれませんか?
「・・・え?」
 少女は先程の翳りが嘘のように、にっこりと笑みを浮かべた。温かくて柔らかい、あの笑みを。
「血の繋がった人間を邪魔者扱いして、わざと危険な任務に行かせるようなところになんていなくていいです。殺しをしたがっていない人間に、無理矢理やらせようとするところになんていなくていい。孤独を怖がっているような人に、孤独を味合わせるようなところになんていなくていい。自分をもっと大切に出来るようなところにいなきゃ駄目です。
 だから、私と一緒に来て下さい。私たちならそんなこと、そんな思い、絶対させません。ファミリーの絆は絶対です。だから、」
 
―――私の、仲間になって下さい。
 ソルトの全てをたったこれだけの時間で悟った少女は、優しい白い手を伸ばして、ソルトに微笑みかけていた。
(・・・・・・穢してしまうかもしれない)
(何にも染まらない真っ白なこの少女を)
(それはとても恐ろしいことだ)
(・・・だけど、)
 
―――この手に、触れたいと。そう、思ったのだ。
「・・・・・・Avec plaisir,volontiers.」
 少女の表情が、ぱっ、と輝いた。
「Mon nom est Rei Hasuren. Enchante!」

 ―――ヴェンタッリオファミリーのボスである蓮漣麗と出逢って、ソルト・ヴァルヴァレスは確かに変われた。
 ヴェンタッリオファミリーに入ったその後、ソルトは自らヴァルヴァレス家当主の元へと出向いた。
「俺は、ヴァルヴァレスから抜けます」
「ヴァルヴァレスの人間ではない、と公式にそうなさってくれて構いません」
「今後一切、俺はヴァルヴァレスには関与しない」
 そう宣言した。何を言われても、もうこれ以上何も言わずに黙って出て行こう、そういう思いを込めて。
 だが、当主が言った、たった一言の言葉は、ソルトが予想していた言葉とは全く違うものだった。
「別に構わない。好きにすれば良いだろう。元々私はお前のことをヴァルヴァレスの人間と認めてなかった」
「だが
―――
「・・・・・・ヴァルヴァレスを名乗ることを、許してやる」
 苗字がなくては困るだろう。そういって、口元に薄い笑みを浮かべた当主の顔。初めて見る、当主の笑みだった。
「さっさと去れ。お前はもう、公式にはヴァルヴァレスの人間ではないのだからな」
 
―――好きではなかったヴァルヴァレスが、セシルの父親が、ほんの少し―――好きになれた。そんな瞬間だったように思う。

 大切な仲間が出来た。自分が何もかも全て捧げても良いとさえ思う、大切な仲間が、大切な人が。凄く、凄く自分は幸せだ。
 だからこそ、幼い頃から血が染み付いて、穢れた自分の手で彼女に触れるのが恐ろしくてたまらない。今でもやはり、自分が穢れているのは変わらないから。だから、自分が触れることで、何にも染まっていない純白の彼女が、仲間が、穢れてしまうような気がして。
 そんなことを言ったら笑われるだろう。怒られるかもしれない。だが、やっぱりソルト
―――この幸せを自分が壊してしまいそうで、それがとてつもなく恐ろしくて、そしてまた、自分が仲間を穢してしまいそうで、どこか一歩退いてしまう自分が―――憎い。
 でも、ソルトは知った。どこにでも絶望は侵蝕している。孤独に、絶望に呑み込まれる人間は多い。だが、どんな人でも絶望に染まらず生きていけることが出来るということを。
 まだ触れることが出来なくても良い。ただ、護ることさえ出来れば、今はそれで良い。
(この手で彼女に触れることは、許されないかもしれないけれど)
(いずれ―――)


END



お題提供:不在証明
http://fluid.hiho.jp/ap/

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...前編


 ソルト・ヴァルヴァレスにとって、“今”はとんでもなく―――数年前の自分にとって見れば、ありえないくらい幸せだ。たった一人で穢れ続けながら孤独を味わうことなく、仲間たちと共に過ごせるなんて、数年前ではありえなかった。
 だが今の自分にとっては
―――この最高すぎる幸せを自ら壊してしまいそうで、それがとてつもなく恐ろしくて、どこか一歩退いてしまう自分が憎くて―――
たまらなかった。
 それはやはりソルトのもともとの性格がそうだからでもあり、また数年前の孤独がそう感じさせているのである。
 そう、今から語るのは、ソルト・ヴァルヴァレスの6歳から始まり今に続く物語。

 この世界には、表の世界と裏の世界がある、とソルトは思っていた。表の世界―――表社会では、絶望を知らない世界が広がっている。裏の世界―――裏社会は、絶望に塗れた世界だ、と。だが表社会だろうが裏社会だろうが、どこにでも絶望は侵蝕していて、そして表社会だろうが裏社会だろうが、絶望に染まらず生きていけることが出来るということを、この頃のソルトはまだ理解していなかった。
 6歳という幼きソルト少年は、この年にして“完璧な”絶望を味わっていた。この上なく甘美なまでの絶望を、知り得ていたのだ。
 ソルトの家、ヴァルヴァレス家は、それなりに由緒ある家柄だった。また、裏社会に通じていて、暗殺業も少々
―――否、かなり嗜んでいる家でもあった。
 ソルトの母はヴァルヴァレス当主の妹で、父は亜米利加人と中国人の混血だった。ヴァルヴァレスは仏蘭西人であるから、ソルトも父と同じく混血児となってしまった。
 先程述べたとおり、ヴァルヴァレスはそれなりに由緒ある家であったために
―――混血児であったソルトは、あまり良い思いをしなかった。表立って騒がれたことはなかったが、やはり少し疎まれる面があったのだ。つまりは、ソルトは正式にヴァルヴァレス家の人間とは認められず―――暗殺業のほうに、身を置かされたのである。
 それが、ソルトの6歳の頃の記憶。父は亡くなっており、母はソルトと逢うことを許されず、ソルトはただ一人孤独を、絶望を味わった。幼い自分の身体が血に穢れていくのを、じっと見つめて、また、穢していく。自らの手で、自らの意思がないままに。
 ソルトは、ヴァルヴァレス家が関与している、戦闘員育成用軍事機関“メタトロン”に無理矢理配属され、一人で殺しを行う日々を過ごしていた。今では、“メタトロン”の幹部にまで上り詰め、たくさんの仲間と共に楽しい日々を送っているが、あの頃はそうではなかった。
 そんなソルトの姿を見て、“メタトロン”の中央庁特別管理委員会委員長を務めている、ソルトの従兄であるセシル・ヴァルヴァレスはいつも思っていた。どうして俺が当主ではなかったのだろうか、と。自分が当主であったならば、ソルトをなんなく受け入れ、こんな幼い背中にヴァルヴァレスの全ての絶望を背負わせたりはしないのに。
 だが
―――セシルには何も出来なかった。セシルは当主ではなかったし―――
セシルの父こそが、ヴァルヴァレス家の当主であったから。だから、セシルには何一つ、出来なかった。
「ソルト、」
 一度だけ、仄かな願いをこめて。セシルはソルトに言った。
「ヴァルヴァレスから逃げてしまえば良い。新しい仲間を作れば良い」
 セシルは今でも覚えている。あのときソルトが答えた言葉を、一字一句間違えることなく、ちゃんと覚えている。
「俺にそんなことは出来ないし、したくない」
「っ・・・どうして、」
「新しい仲間が出来たとして、そしたら俺はどうすればいい? 血が染み付いて穢れきったこの手で、この身体で、大切な人を守りたくない」
 ソルトばかりが穢れているわけではなかったのに。だというのにどうして、そんなにも自分が穢れていると言うのかと、セシルはそう思った。
 だが、それは仕方の無いことだった。混血児で、ヴァルヴァレスでは忌み嫌われ、その上ヴァルヴァレス自身が一歩引いてしまう暗殺業に身を置き、戦闘員育成用軍事機関に配属して、血に塗れたソルト・ヴァルヴァレスという人間は、ソルト自身にとって最も穢れた存在でしかなかったのだ。自分が自分に触れることも恐ろしく思うくらいに。
「だからこのままでいいんだ」
 当時7歳ももう終わりを迎えていたソルトは、そう言ったのだった。

 黒いわだかまり。いつからこんな汚らわしいものが自分の中に生まれたのだろう、と12歳のソルトは思った。気持ち悪い、吐きそうだ、と。
 その黒いわだかまりは、よく見れば紅いものも混じっている。ああ、これは血だ。しかも、返り血だ。自分が殺してきた人々の血が、こんなにも染み付いてしまったのだ。
 自覚はあった。だけど、こんな感覚に陥るほどにまでなってしまったなんて。
(・・・誰にも触れてはならない)
 何もお前にやってやれない、と嘆いていたセシルにも、幽閉されて今はどうなったのかさえ知りえない母にも、いずれもしかすると自分にも出来るかもしれない、大切な人にも
―――自分は、触れることが出来ない。否、触れてはならない。
 だが、ソルトは恨んではいなかった。ヴァルヴァレス家も、セシルの父もセシルも、自分の父も母も、恨んでなどいなかった。だけど、ほんの少し
―――ヴァルヴァレス家とセシルの父が嫌い。自分の父が、母が、遠く感じる。セシルが羨ましい。そして何より―――自分が疎ましい。混血児だからといって、ソルトが胸を張って生きればヴァルヴァレス家の意見も変わってくれるに違いないのに、自分はそれすらも出来ないのだ。ただただ、自分が汚らわしく疎ましい。
(殺しをやっている人間の中で、俺が一番汚らわしい)
 自分が、とてもとても
―――
大嫌い、だった。

 漆黒に広がるわだかまりはさらに広がり、ソルトを蝕む。穢れていく、芯から芯まで。ソルトの優しさが仇となって、それはどんどんどんどん加速して、覆い尽くす。
 その漆黒に、一筋の光が差し込んだのは
―――ソルトが16歳のときだった。


後編に続く...

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はい、まあ勿論嘘ですよ?(笑) てかこのバトン前もやったなあ・・・;


▼見ちゃった人は忙しくてもやって下さい
※タイトルを「学校(仕事&趣味)を辞める(止める)ことにしました。」に設定すること。地雷バトンです。
▼見たらすぐやるバトン←コレ大事
※見た人必ずやること今すぐやること。足跡をつけた瞬間に『見た』と判断されますので要注意!!

■自己紹介■

HN:夜零 在処
職業:学生と言う名の憂鬱(ぇ
病気:中二病、現実逃避症、活字&ネット中毒、サヴァン症候g・・・嘘ですすいません、調子に乗りました。
装備:本。
性格:自己中、マイペース、自分の意見をはっきりいう(キツい)、まあまとめれば性格悪い。ちなみに友人曰く「ドSが決して超えられない、ドSの上を行く真のドS」。
口癖:「そもそも~、」「鬼畜すぎる」「きた!!」とか?←
靴のサイズ:22.5
兄弟:不在。

■好きなもの■

色:黒
数字:22、13
動物:全部
飲み物:麦茶、紅茶
本:たくさん
花:たくさん
携帯:Softbank
殴り合いのケンカしたことある?:実はあったりする。
友達とキスしたことある?:ない。
誰かの心をもてあそんだことある?:うふふふふw
利用したことある?:クフフ(死ね
使われたことは?:さあ、どうだろう?
髪染めてる?:染めてない。つか染めなくても結構茶色い。
タトゥーしてる?:したくないししてない。
ピアスあけてる?:あけてない。
カンニングしたことある?:あるにきまってんじゃねーかこのやろー(
お酒飲む?:一口ぐらいは。あと料理酒とか、料理に使われたりする酒とか。
ジェットコースター好き?:大好きw
どこかに引っ越しできたらなーと思う?:漫画の世界。
もっとピアスあけたい?:いや、だからあけてない。
掃除好き?:やり始めたら止まらない。
丸文字?どんな筆記?:うちの班曰く、上手いらしい。ただしうちの班は全員かなり字が下手である。
ウェブカメラもってる?:もってない、欲しい!
運転の仕方知ってる?:父上が上手いので、よく見てます(?)
何かを盗んだことある?:何回もありますよ(オイ
拳銃手にしたことある?:エアガンなら←

■今現在■

今着ている服:ラフすぎる格好。
匂い:風呂上りの匂い。
髪型:ロングヘアー
今したいこと:とりあえずバトン終わらせてなりきりに集中したい(
聴いてるCD:すばせかの「Emptiness And」。
1番最近見た映画:天空の城ラピュタ。何回も見てるからほとんど暗記した(
1番最後に電話で喋った人:某班長に危うく間違って電話かけるとこでした←
初恋覚えてる?:覚えてる。
まだ好き?:顔も覚えてないのに好きなわけないじゃないか←
新聞読む?:残念ながら新聞を買ってないのです。
奇跡信じる?:全ては必然(ホリックうううううう
成績いい?:^p^
帽子かぶる?:たまに。
自己嫌悪する?:そりゃあ、もう。
何かに依存してる?:いるけど敢えて書かない(
何か集めてる?:自称トランプコレクター(現在24個)
親友はいる?:いますよ。
自分の字は好き?:普通。つか「自分の字好きーv」なんてやるいんの?(

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第二話

 

「立派な家ですね・・・」


「ここに一人で暮らしているのか?」


 首都の外れに位置するとある一区に、一軒の家がある。その家の前に、アリカ、世賭、翠はいた。


「そうよ。別に普通だと思うけど?」


 アリカは平然とした顔で鍵を取り出し、玄関の戸を開ける。


 あの後、世賭と翠は流されるようにアリカの家へ住むこととなった。確かに宿を探していたのは事実であり、有難いことではあった。


「部屋は足りるのか?」


「勿論よ。沢山あるから大丈夫」


 にっこりと微笑み、アリカは家の中へと入った。


「どうぞ」


「え、っと、お邪魔します」


 家の中は若干、気にならない程度に薄暗かった。アリカは電気をつけず、さっさと居間へ移動する。


「少し薄暗いですね・・・」


「ああ、私あんまり光が好きじゃないから。日当たりが悪いようになってるの、この部屋。私、夜行性みたいな感じだし」


「夜行性・・・」


 まだ十代半ばであろう少女が、夜行性。翠は少し眉を顰めた。


「別におかしくはないだろう。《暗黒のアリス》、なんて異名を持つぐらいだし・・・―――


 そのとき、アリカが纏う雰囲気が一転した。


あたしを《暗黒のアリス》と呼ぶのはやめろ


 恐ろしい形相で、世賭を睨みつけているアリカを見て、翠は思わず息を呑んだ。薄暗い家の中で、今のアリカは一際暗く見えた。


二つ名で、異名であたしを呼ぶな


「・・・へぇ」


 アリカの雰囲気が攻撃的なものへと変化しているのにも関わらず、世賭はいつも通りのポーカーフェイスでアリカを見つめている。その表情に恐怖や怯えと言ったものはなく、翠は慌てた。


「や、やめよう世賭。アリカちゃんが嫌がっているんだから」


 その言葉を聞き、アリカから発せられる暗黒が消え失せた。


「大丈夫、ですか?」


 アリカが俯きしゃがみ込んだのを見て、翠は優しく肩に触れた。だが、アリカはその手から逃げるように、身体をよじった。


「アリカちゃん・・・」


「ごめんなさい。私、二つ名で呼ばれるのが好きじゃないの。世間から外されて、一人になってしまったような気がするから。私だけが世界から除け者にされているみたいで、私だけが人間じゃないみたいで。私は一人になりたくないの、だから異名で私を呼ばないで」


 大量の二つ名。最強の称号。それはきっと、アリカには重過ぎるのだろう。


――― だったら、もう一人ではありませんね」


「え・・・?」


 ゆっくりと顔を上げると、翠が温かい笑顔でアリカを見ていた。


「僕たちが居ますから」


「翠の言うとおりだ。それと、家に泊めさせて貰っている以上、して欲しいことは出来る限り答えるように努めるつもりだからな」


 世賭もいつになく優しい声で、そう言った。


「っ・・・あり、がとう」


アリカはにっこりと微笑んだ。


 世賭と翠が、アリカの家に泊まることとなってから早一週間。三人は暇を持て余していた。


「暇過ぎ! 誰か死んでも良い奴来ないかな。そしたら生き埋めして、空気穴を開けておいて、そこから水を入れて溺死させて―――


「いい加減にしてくれ。もっと上手い残酷な殺し方を想像しろ」


「世賭もいい加減にしてくれないかな」


 翠は読んでいた本から顔を上げ、だらしなくソファに寝そべっている世賭とアリカを見やった。その表情は明らかに呆れ以外の何物でもない。


「その手の話はもう十分です。腹黒い話は止めて下さい」


 それを聞き、世賭は不服そうな表情で翠を見た。ソファに寝そべっていたせいで、ぼさぼさになった髪を適当に撫で付けている。


「お前だって十分腹黒いくせに、何を言う」


「僕のどこが腹黒いのかな?」


「自覚することって大切だよ、翠さん」


 先程の翠と同じ呆れ顔でアリカは言った。一向にだらけた様子から立ち直る気配は無い。


「あ、呼び捨てで良いですよ、アリカちゃん」


「それはいいけど・・・翠だって敬語じゃない」


「これは癖みたいなものです。まあ、世賭には敬語じゃありませんけど・・・。ね、世賭」


「何が『ね』、だ。可愛い子ぶるな、この腹黒僕っ子が」


 世賭は眉を顰め、ぐったりとまたソファになだれかかる。小さくため息をつき、そしてふ、と窓の外を見た。


「・・・ん・・・?」


「? どうしたんですか、世賭?」


「いや・・・何でもない」


 ただならぬ戦機が、訪れようとしていた。



 「ふふ、見ぃつけたぁ・・・」


「主様のご命令・・・」


「楽しませてくれるかしらぁ」


「ふふふ、それじゃあ・・・」


「行きましょうか」


 妖しい二つの人影が、動いた。



 世賭が不意に立ち上がり、壁に立てかけていた刀を手にした。


――― 来た」


 乱れていた髪を解き結びなおすと、世賭は勢い良く扉を開けて家から出て行った。その様子を見て、翠は珍しく無表情に呟く。


「面倒なことが起きそうですね」


「もう、起きてるわよ」


 ここは、世賭に任せてみましょうか。そう、翠は言った。


「え・・・良いの?」


「大丈夫ですよ。世賭ならね」


一方、世賭は眼を鋭く光らせて、虚空を睨みつけていた。


「誰だ」


「あらぁ」


「バレたみたぁい」


「甘ちゃんかと思ったのにぃ」


 ばしゅっ、と鋭い水の音がして、世賭の頬にかすかな痛みが襲った。


「水・・・?」


 ゆっくりと頬に手をやると、指に深紅の血が付着した。どうやら、水で切られたらしい。


「へぇ」


「驚かないのねぇ・・・」


「まあ、良いわ」


 先程と同じく、またばしゅっという水の音。


「同じ手に二度も引っかかったりはしない」


 世賭はほんの数ミリ、身体を捻らせた。水は勢いを失くし、地面に滴となって落ちる。


 刹那、世賭は眼にも留まらぬ速さで抜刀し、何かを斬り落とした。


「っ・・・!?」


 声がした方向に木があった。その木の枝が、すぱっと見事に斬れている。ぱらり、と何か水色の物体が、木から落ちた。


 水色の長い髪。髪が落ちたと同時に、小さな舌打ちが聞こえた。


「そこに二人隠れているのはわかっている」


――― なかなか楽しませてくれそうねぇ・・・」


「やっぱり主様は最高だわぁ・・・」


「主様?」


 世賭の呟きを無視し、二人の女が木から飛び降りた。短髪の女と長髪の女。二人とも、瓜二つだった。


「双子か」


 瓜二つの女は、妖しげににこりと微笑んだ。


「私はリデル。そしてこっちはリゼル」


 短髪の女がそう言った。二人とも、同じ形の透き通った鞭を手にしていた。


「世賭・・・援助が必要かな?」


「・・・したいのなら」


 いつの間にか翠が世賭の後ろに立っていた。ちらりと家の窓を見やると、アリカが不敵な笑みを浮かべてこちらを見ている。


 ――― 傍観者のつもりか。


 それでも構わない、と世賭は思った。一人でも楽勝だが、翠と二人なのだ・・・勝算はこっちにある。


「これで2対2になったわねぇ・・・」


「これで、平等だわぁ」


「私たちが勝ったら・・・主様のご要望・・・」


「アリカって女の子を引き渡して貰うわよぉ」


「・・・上等だ」


 リデルと名乗った短髪の女は、世賭には眼もくれず翠に向かって走り、鞭を構えた。水色の短い髪が揺れ、翠に顔を寄せる。


「私は貴女のお相手をするわぁ」


 一方、残ったリゼルは世賭に向かって、水色の長い髪を投げた。


「何だ」


「さっき貴方に斬られた髪よぉ・・・? 大切にして頂戴」


「誰がこんな塵を」


 それ聞いて、リゼルはうふふと楽しそうに笑った。世賭は軽蔑の眼でリゼルを見やっている。


「貴方、知ってるわぁ・・・《鬼刀の世賭》なんて呼ばれてるんでしょう・・・?」


「・・・」


「知ってるぅ・・・? 私たちは《水星の魔女》って呼ばれているのよ・・・」


「水が星のように煌き飛んで・・・」


「その身を突き刺すの・・・」


「さっき鞭って言ったけど・・・」


「これは剣なのよ・・・」


「水の剣・・・それを星のように使って殺す魔女・・・」


「それが私たちなのよ・・・」


 離れたところに居ても、阿吽の呼吸で言葉を続け、不気味に微笑むリデルとリゼル。世賭は眉をしかめた。


「私たちはハーフなのお・・・」


「人間と・・・」


「魔物の・・・」


 翠の表情が、薄ら笑いに変わった。


「そうでしたか。道理でやけに不気味な方たちだと思いましたよ・・・」


「何ですって・・・?」


 いきなり表情を豹変させ、翠を睨みつける双子。翠は平然と笑みを浮かべている。


「何度でも言ってあげますよ。その不気味な顔を太陽の下に晒さないで貰いたいですね。吐き気がします」


「だったら・・・」


「殺してあげましょうか?」


「そうしたら・・・」


「私たちを見ることも」


「出来なくなるでしょう・・・?」


 世賭は静かな声で呟いた。


殺し合いのパーティーでも始めるか



...第三話に続く

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 ・・・・・・俺のところに来たってことは、もう解っちゃったのかな? 予想より早かったね、さすがだよ。まあ、少し落ち着いて。紅茶、飲む? ああ、飲まないか。そうだよね、俺が何を入れるか解らないもんね。砂糖かもしれないし、牛乳かもしれないし、塩かもしれないし・・・・・・青酸カリかもしれない。
 まあ、戯言はこれくらいにして・・・本題に入って貰おうか。キミが俺に何をしに来たのか、重々解っているつもりだけど・・・一応、ね。確認だよ。

 
・・・・・・ふーん。これは驚いた。そこまで解ってしまったなんて、驚きだ。まあ、一部間違っているけどね。別に俺は彼女の為にやったんじゃないよ。自分の為、それだけ。俺は快楽主義者だからね。
 それにしてもさぁ・・・そろそろ気付いて欲しいな。ん? 何のことかって? ―――あはは、やっぱり所詮、キミはキミでしかないね。その程度の人間ってことだ。その程度の人間が、そこまで解ったなんて奇跡に等しいよ。

 あはははははッ、やっと違和感に気付いたかな? ねえ、微かに匂うだろ? キミがよく知っている、俺らの身近な匂い。この前なんか、彼女と俺のせいで学校中がこの匂いに覆われていたよね。
 ―――やっと解った? そうさ、鉄の匂いだよ。表情が変わったね。面白いなぁ、ほんと。くくっ、ほんとキミって面白い。

 誰から発せられている匂いだろうね? ああ、言っとくけど俺は知らないよ。彼女がやってるんだ。そういうこと、彼女がいるんだよ。キミも馬鹿だよね、一人でここに来るなんて。俺が黙ってキミに殺されるとでも思った?
 それにね、俺に対して復讐しようったって、そんなの馬鹿げた話なんだよ。だって、解るだろ? キミは知っている筈だよね。俺は俺が楽しむ為ならば、俺自身が快楽を味わう為ならば、何だってするけどね。でも、大抵は自分の手を汚さない。そういう、狡賢くて汚い人間だよ、俺は。


 キミじゃあ彼女には勝てないし、てーか、俺にも勝てない。ごめんね、俺、思ったことははっきり言うタイプだからさ。とりあえずさ、言って良いかな? キミってほんと、甘いよね。それに臆病で弱虫だ。
 え、何? キミも俺に言いたいことあるの? 何、言って良いよ。どーせキミ、ここで死ぬんだし。ほんと、悪いと思ってるよ。キミのことはそれなりに好きだったんだ。だけどこんなことになってしまって。でもまあ、後悔はしてないけどね。だって俺、そーゆー人間だから。だからさ、言って良いよ? ほら、もう時間が無い。彼女の足音が聞こえるよ。


 ―――「      」



 ・・・・・・・・・・・・・・・まさか、キミからそんな言葉を聞く、なんて、思ってなかったな・・・ちょっと、いやマジで、本気で、驚いてる。何を言えば良いか、解らなくなった。キミがそんな言葉を言える人間だとは、思ってなかった・・・。
 人間って、最期には何だってするもんなんだね・・・はは、ちょっと怖いかも。なんかこのあと最悪なことが起きそうだよ。

 ・・・あ、来たね。待ってたよ。ねえ、結構潔いよ、あれ、予想の範疇だった? まあ、いいや。とりあえず、殺しちゃって?
 



 ―――私が最期に見たのは、笑いながら泣いている男の姿だった。

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