―――何が、いけなかったのだろう。
―――何が、駄目だったのだろう。
―――好きだった、はずなのに。
―――それも全て、終わったはずなのに。
―――自分には、わからなかった。
―――少年には、わからなかった。
―――わからなかった、のだ。
―――どうしても。
*
カルコラーレファミリー。『計算する』という意を持つそのマフィアは、現在十五歳の少年が首領(ボス)を勤めている。
少年の名は、閑廼祇徒。生まれてきたときから、マフィアのボスとなることが義務付けられていた少年。
(わかっては、いたんだ―――それが、どういうことかだなんてさ)
わからなかったのは全て、あの少女の事だけだ。
(マフィアってもんがどういうものなのか、あいつだって理解していたはずなのに)
ただ、わからないだけなのだ、祇徒は。
(どうしてあんなに苦しそうな顔をするのかが)
敵対しているはずなのだ。憎んでいるはずなのだ。もう、終わったはずなのだ。
なのに。
(たまに俺にだけ見せる、あの表情。悔やむように悲しむように―――)
好きだった、少女の事が。
(今でも大切には想ってる)
だが、あのときあの瞬間に―――終わったのだ、もう。祇徒にとっては、全て終わった事でしかないのだ。
(でももう、それ以上の感情はねぇんだよ)
(お前もそうじゃなかったのかよ? なあ、)
閑廼祇徒は短気で口が悪くぶっきらぼうで、でもとても優しい少年だ。だが、彼には彼自身気付かない、残酷さがある。
所詮は、生まれながらにしてマフィア側に染まりきった人間だという事なのだ。
―――少年にはわからない。少女は自分とは違うという事に。少女はあの感情を捨て切れていないという事に。
―――少年にはわからない。自分では終わった事だとしても、少女にとっては終わっていないという事を。
―――少年にはわからない。結局のところ、そこに“愛”は無かったのだという事を。
「・・・麗、」
―――少年には、わからない。
恋の神様は失恋しました
(要するに、恋の神より運命の神が強かったって事だろ?)
―――少年にはわからない。それ自体が、間違っている事に。
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Sex:女
Birth:H7,3,22
Job:学生
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