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せんそうとへいわ
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第壱話...某月某日



 ――― 金色の鋭い眼が、暗い路地に浮かんだ。

「ひっ・・・・・・や、嫌だァァァ!!!

 容赦なく、鋭い煌きを見せて刀が振り下ろされる。

 少女は一滴も返り血を浴びていなかった。人形のように整った容貌には、どす黒い笑みが浮かんでいる。
 

「はっ」

 
嘲るような乾いた笑いを響かせ、少女は路地から去っていった。



 

 ――― 時は2766年。武術、魔術、特殊能力の蔓延る戦乱の国。

 その国の第二の首都とも言われるほど大きく繁栄した町、壱之町(いちのちょう)。その東部に位置する一軒の宿に、とある二人(・・・・・)は昨日から宿泊していた。

「桜がもう散りかけているよ、世賭(せと)

 窓の桟に手を置いて、(すい)は静かな声で世賭に言った。世賭は自分の髪を結わえながら、窓の外を見やる。

「もう四月も終わりだからな」

「まだ二十二日だよ」

「あと八日も経てば五月だ」

 部屋の襖を開けると大きな円形の窓があり、その窓からはいくつもの桜の木が見える。四月の下旬ともなれば、もうほとんど葉桜と化していた。

「そうか、今日は四月二十二日か・・・・・・」

「? 何かあるの?」

 世賭の澄んだオッドアイが曇る。

「いや、何もない―――


 ――― アリカの死から約一年が経った。裏社会に君臨し、裏で国を統べていた元皇帝で、そして仲間であったアリカ。皇帝の詳細は誰も知らない。アリカが出逢う以前何を見て、何をしてきたのかも知らない。だが、そんなことは関係なく、アリカは二人の仲間だった。大切な、大切な仲間だった。

 そして二人はあの地を離れ、また旅をしている。忘れたかったからじゃなく、ただ離れたかったのだ。

 ――― それと同時にあのときから、世賭は密かに引っ掛かりを感じていた。何か忘れているような、“違和感”。今日になって、その“違和感”が更に大きくなった。

(僕は何を忘れている・・・・・・?)

「今日は天気も良いし、出かけようか?」

 翠がにこりと微笑んでそう言った。世賭は小さく頷く。

「決まりだね。朝御飯を食べたら、行こう」

 顔を洗ってくるよ、と翠が言って、世賭から離れた。

(この壱之町で、“違和感”の正体がわかるだろうか・・・・・・)

 髪を結わえ終わった世賭は、静かに立ち上がった。

 
 この数ヶ月、世賭の様子が若干おかしいことに、翠は気づいていた。当たり前だ、もう十年も一緒にいる。少しの変化でも気付くことが出来る。

 
だがその理由はわからなかったし、聞く気も毛頭なかった。否、聞けなかったのだ――― 恐ろしくて(・・・・・)

「第二の首都と言われるだけあって、ほんとに広いね」

「そうだな」

 壱之町の中央部に位置する市場にまで、二人は足を伸ばしていた。ざわめく市場、その人の多さに圧倒される。

「北部は政府や小組織が管理しているビルが立ち並んで、近代的かつ都会的だけど、中央部と東部は和風的で華やかだね。西部と南部は西洋風らしいよ」

 翠の説明を、世賭は黙って聞いている。

(何故僕は世賭に聞かない?)

 市場を見ながら、自問自答を繰り返す。

(気づいているのに、どうして言わない? 何かあったの、と)

「あの果物、美味しそうだね」

「ああ」

(聞いても世賭が話してくれないだろうと思っているから? それが怖いのか?)

「違う―――

「え?」

「ううん、何でもないよ」

(違う、怖いけどそれが怖いんじゃない)

 ふ、と翠の足が止まった。訝しげに世賭が翠の顔を見つめる。

(僕は、世賭に出会う前の世賭のことを何も知らない。もしこの様子がおかしい理由にそれが関わっていたとしたら、僕はどうすれば良いのかわからない。出会う前の世賭のことを、僕は聞きたくないんだ)

「翠?」

――― ごめん、ちょっと考え事・・・・・・気にしないで」

 また、ゆっくりと歩き出す。

(何かが崩れていく)

 ――― この、町で。



...第弐話に続く


続けて第壱話です。やっと始まったよ・・・・・!!
今回は視点がコロコロ変わるから忙しい、かもしれない。
やっぱ登場人物、名前だけでもupするべきだったかも・・・・これからするかもしれない←

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無題
すげえ…。

さすが在処…。

うちも頑張ろ←

夜月砂羅 2010/05/09(Sun)12:14 編集
無題
サラ>うは、ありがとww
楽しみにしてるー(
夜零 在処 URL 2010/05/09(Sun)13:58 編集
無題
ひゃー;

どうせ駄作しかできないから楽しみになんてしないで~(←

夜月砂羅 2010/05/09(Sun)23:24 編集
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