激しい攻防が繰り広げられていた。
少女と少年が、大勢の黒ずくめの集団に武器を振るっている。
(中小マフィアだからと言って舐めていましたね―――こんなに大勢だなんて、聞いていない)
少女は忌々しそうに小さく舌打ちをすると、自身の武器である扇を握り直し、真っ直ぐに前を見据える。
(でも、倒れるわけには行かない―――私は、ボスなんですから。仲間が、いるんですから)
ボス。
少女―――蓮漣麗。
彼女は、ヴェンタッリオファミリーのボスだ。
(限界が近い―――私も、葵さんも相当攻撃を……血を流している)
共に戦っている少年、紫俄葵を横目で見やる。
二つの刀を振るい、敵を薙ぎ倒していっているが、攻撃を防げていないのは明らかだった。黒い服にところどころ、濃い染みを作っているのがわかる。
(倒れるわけには行かないんですよ)
護らなければならない。守らなければならない。なんとしてでも、何があろうとも。
―――そのときだった。
「ボス―――ッッ!!!」
葵の声が聞こえて、麗は自分に銃を向ける男の姿を確認した。
「っ……!!」
―――銃声。
前を横切る人影。
「あ、葵さん……ッ!!!」
「っく……ぁ、」
葵の腹部から溢れ出す大量の血を見て、目の前が真っ暗になった。
「そんな、葵さん、……っ!!!」
「―――麗、」
ぐ、と。
苦しげな、でもはっきりとした声で。
いつも呼ばれる「ボス」ではなく―――自身の名を呼ばれて、麗は葵を見た。
「良いかい、麗。まだ倒れちゃ駄目だよ」
「あ、おい……さん、」
「僕が道を作る。必ず君を護る。僕がずっと傍にいるから」
「葵、さん―――」
「……麗、君は―――まだ、そこで戦える」
だから、走れ。突き進め。倒れるな。
(わかってます)
「じゃあ、行きますよ―――葵さん」
「うん」
今一度、扇を握りなおして。
―――走った。
―――奔った。
―――疾った。
(私は護られているんですよね。だから、護るんです)
守られているから、守るのだ。
葵が眼の前を走っているから。血を流しながら、刀を振るい続けているから。
だから、自分も扇を握り締めて―――戦う。
(絶対に、倒れません)
襲い来る者たちを薙ぎ払っていく。
(絶対に、勝つんです)
右腕に抱えた勝利の女神
(貴方が傍にいる限り、私は絶対に倒れません)
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Sex:女
Birth:H7,3,22
Job:学生
Love:小説、漫画、和服、鎖骨、手、僕っ子、日本刀、銃、戦闘、シリアス、友情
Hate:理不尽、非常識、偏見