せんそうとへいわ
...Bullet 001...
「Uno、」
銃声が鳴り響く。
「Due、」
少女はただひたすら銃声の中を疾り続ける。
「Tre、Quattro、」
少女は弾丸をものともせず突き進む。
「Cinque、Sei、Sette、」
少女は、護られているから。
「Otto、Nove、」
だから少女は、護られる為に、護る為に。
「Dieci!!」
―――疾り、続けるのだ。
白い背中はバニラの匂い
(え、ちょ、姉さん何で泣いてるの・・・!?)(あ、秦。何だお前、いなかったのか?)(・・・殺す!)
「Uno、」
銃声が鳴り響く。
「Due、」
少女はただひたすら銃声の中を疾り続ける。
「Tre、Quattro、」
少女は弾丸をものともせず突き進む。
「Cinque、Sei、Sette、」
少女は、護られているから。
「Otto、Nove、」
だから少女は、護られる為に、護る為に。
「Dieci!!」
―――疾り、続けるのだ。
※
「全く、私は下がっていてと言ったじゃないですか!」
「すまん」
とある屋敷の昼下がり。その屋敷の一室で少女が、少女よりも年上であろう青年を怒っているという、奇妙な光景が見られた。
「私を護ってくれるのは、助かりますし何より嬉しいです。でも、私だって貴方を護っているんです。それなのに貴方という人は・・・ソルトさん!!」
ソルト、と呼ばれた青年は、申し訳なさそうに眼の前の少女―――もとい、己の大切なボスである蓮漣麗から眼を逸らした。
「だから、すまなかっ―――」
「では済まないんですよ、ソルトさん! もし致命傷になっていたらどうするつもりだったんですか! そう考えたら私は恐ろしくて恐ろしくて・・・っ」
「だが、このとおり大丈夫であったし・・・」
「でも怪我を負ったじゃないですか!!」
麗はソルトの身体を指差した。麗の言うとおり、ソルトの頬には大きな絆創膏が貼られ、首から右腕にかけて包帯が巻かれている。服に隠れて見えないが、身体中かすり傷だらけだ。
「まあ、そう・・・だが・・・」
「はぁ・・・ソルトさんはもう良いです・・・・・・葵さん、昴君!!」
今までソルトの隣でクスクスと笑いあっていた少年二人―――もとい、麗率いるヴェンタッリオファミリーでソルトたちの仲間である紫俄葵、桐城昴―――は肩をびくりと震わせ硬直した。
「貴方たちもです! そんなに怪我してクスクス笑っていられるなんて・・・っ」
「ご、ごめん」
「ごめんね、ボス」
ソルトに負けず劣らず、二人もかなり怪我を負っていた。服の間からやけに白く見える包帯が、さっきから見え隠れしている。
「―――貴方たちは・・・」
麗は静かに俯き、小さな声で呟く。
「キングを護るナイトでもビショップでもルークでも、ましてやポーンでもない・・・私の、大切なファミリーです」
―――貴方たちが、ファミリーがいるから、私は疾り続けることが出来る。
「・・・麗、」
「貴方たちがいなくなってしまったら、私はどうすればいいんですか」
「ボス、」
「絶望の中、そうなったら私は生き続ける自信がありません」
「麗ちゃん、」
「だから、お願いですから、私のせいで怪我をしたりなんかしないで下さい」
お願いですから、と・・・彼女は、繰り返した。高級そうな絨毯に、ぽたりと滴が落ち染みを作る。
「―――麗」
ソルトは柔らかく、麗の頭を撫でた。
「俺たちはお前のせいでいなくなったりなんか、絶対にしない・・・するつもりなんか毛頭ない」
「出来る限りずっと、ボスの傍でボスを護るし」
「ずっと麗ちゃんに護られるよ。だって僕らは、」
「すまん」
とある屋敷の昼下がり。その屋敷の一室で少女が、少女よりも年上であろう青年を怒っているという、奇妙な光景が見られた。
「私を護ってくれるのは、助かりますし何より嬉しいです。でも、私だって貴方を護っているんです。それなのに貴方という人は・・・ソルトさん!!」
ソルト、と呼ばれた青年は、申し訳なさそうに眼の前の少女―――もとい、己の大切なボスである蓮漣麗から眼を逸らした。
「だから、すまなかっ―――」
「では済まないんですよ、ソルトさん! もし致命傷になっていたらどうするつもりだったんですか! そう考えたら私は恐ろしくて恐ろしくて・・・っ」
「だが、このとおり大丈夫であったし・・・」
「でも怪我を負ったじゃないですか!!」
麗はソルトの身体を指差した。麗の言うとおり、ソルトの頬には大きな絆創膏が貼られ、首から右腕にかけて包帯が巻かれている。服に隠れて見えないが、身体中かすり傷だらけだ。
「まあ、そう・・・だが・・・」
「はぁ・・・ソルトさんはもう良いです・・・・・・葵さん、昴君!!」
今までソルトの隣でクスクスと笑いあっていた少年二人―――もとい、麗率いるヴェンタッリオファミリーでソルトたちの仲間である紫俄葵、桐城昴―――は肩をびくりと震わせ硬直した。
「貴方たちもです! そんなに怪我してクスクス笑っていられるなんて・・・っ」
「ご、ごめん」
「ごめんね、ボス」
ソルトに負けず劣らず、二人もかなり怪我を負っていた。服の間からやけに白く見える包帯が、さっきから見え隠れしている。
「―――貴方たちは・・・」
麗は静かに俯き、小さな声で呟く。
「キングを護るナイトでもビショップでもルークでも、ましてやポーンでもない・・・私の、大切なファミリーです」
―――貴方たちが、ファミリーがいるから、私は疾り続けることが出来る。
「・・・麗、」
「貴方たちがいなくなってしまったら、私はどうすればいいんですか」
「ボス、」
「絶望の中、そうなったら私は生き続ける自信がありません」
「麗ちゃん、」
「だから、お願いですから、私のせいで怪我をしたりなんかしないで下さい」
お願いですから、と・・・彼女は、繰り返した。高級そうな絨毯に、ぽたりと滴が落ち染みを作る。
「―――麗」
ソルトは柔らかく、麗の頭を撫でた。
「俺たちはお前のせいでいなくなったりなんか、絶対にしない・・・するつもりなんか毛頭ない」
「出来る限りずっと、ボスの傍でボスを護るし」
「ずっと麗ちゃんに護られるよ。だって僕らは、」
「「「ファミリーだろ?」」」
はっ、と少女は顔を上げ、そして照れくさそうな笑みを浮かべて涙を拭った。
「そう・・・ですね。ファミリー、ですもんね」
それはとても柔らかく。彼女が彼らと出逢った時に見せたものと同じ笑みを、彼女は、浮かべた。甘く柔らかく温かい笑みを。それはまるで―――、
「そう・・・ですね。ファミリー、ですもんね」
それはとても柔らかく。彼女が彼らと出逢った時に見せたものと同じ笑みを、彼女は、浮かべた。甘く柔らかく温かい笑みを。それはまるで―――、
白い背中はバニラの匂い
(え、ちょ、姉さん何で泣いてるの・・・!?)(あ、秦。何だお前、いなかったのか?)(・・・殺す!)
お題提供:酸性キャンディhttp://scy.topaz.ne.jp/
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Name:在処(arika)
Sex:女
Birth:H7,3,22
Job:学生
Love:小説、漫画、和服、鎖骨、手、僕っ子、日本刀、銃、戦闘、シリアス、友情
Hate:理不尽、非常識、偏見
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