せんそうとへいわ
―――嫌な予感、というのはよくあるものだ。あのときも、例外ではなかった。
「すみません、任務…です」
ヴェンタッリオファミリー現ボスで、僕の上司である蓮漣麗に呼び出されて、そういわれた。ここまでは、いつもどおり。
「宜しくお願いします」
僕は任務内容の書かれた書類を受け取り、一礼して部屋を出ようとした。そのとき、僕は違和感に気づく。ボスの表情が、どこか曇っていることに。
「…どうかした…?」
「あ、いえ…なんだか、凄く嫌な予感がして…」
嫌な予感。彼女の嫌な予感はとてもよくあたる。彼女が信頼している、同盟ファミリーのボス並みの直観力だ。
「で、でも予感ですから…気になさらないで」
「わかってるよ」
それに、と僕は付け加えた。
「僕はそれ相応に覚悟しているんだよ―――三年前からね」
「え?」
「じゃあ、行って来るよ」
僕は柔らかい笑みを浮かべて、答えないまま部屋を出た。
―――嫌な予感は、僕も感じていたんだ…ボス。
「すみません、任務…です」
ヴェンタッリオファミリー現ボスで、僕の上司である蓮漣麗に呼び出されて、そういわれた。ここまでは、いつもどおり。
「宜しくお願いします」
僕は任務内容の書かれた書類を受け取り、一礼して部屋を出ようとした。そのとき、僕は違和感に気づく。ボスの表情が、どこか曇っていることに。
「…どうかした…?」
「あ、いえ…なんだか、凄く嫌な予感がして…」
嫌な予感。彼女の嫌な予感はとてもよくあたる。彼女が信頼している、同盟ファミリーのボス並みの直観力だ。
「で、でも予感ですから…気になさらないで」
「わかってるよ」
それに、と僕は付け加えた。
「僕はそれ相応に覚悟しているんだよ―――三年前からね」
「え?」
「じゃあ、行って来るよ」
僕は柔らかい笑みを浮かべて、答えないまま部屋を出た。
―――嫌な予感は、僕も感じていたんだ…ボス。
※
任務はあっさりと終えた。これでもヴェンタッリオファミリーの幹部であり、立派な守護者だ。この程度の任務など簡単。
「疲れたな…」
簡単では合ったが、数が多かった。身体が重い。
(早く帰ろう)
嫌な予感はだんだん膨らんで来ていた。さっさと帰って、ボスを安心させたい。
―――だが、その願いは叶わなかった。
「っ…?!」
銃声。そして、肩に走った激痛。
―――撃たれた。
「くっ…」
まだ、残っていたのか。もう全員殺してしまったと思ったのに。
(どこだ…どこにいる…?)
姿が見えない。誰だ、誰が撃った? どこにいるのだ?
「ここだよ」
「!!」
自分の口から、どばどばっと血が吐き出される。後ろから、刺された。
「お、まえ―――ッ…!!」
「悪いね。こっちも任務なんだ」
見知った顔。嗚呼、敵対ファミリーの幹部の一人だ―――
「Ciao!」
走馬灯、なんて僕は見なかった。ただ、ボスの顔と同僚の顔が浮かんできただけ。
人は死んだ後が厄介で、とても迷惑をかける。僕も例外じゃない。
きっとボスを悲しませて、泣かしてしまうだろう。ボスの弟である泰はそれを見て胸を痛めるだろうし、ソルトさんは僕の遺体の処理や葬式の準備等で忙しくさせてしまうだろうし、レンはそれを手伝う。昴はきっと無表情に、僕とボスの為に花を買いにいくだろう。
「っ…」
―――三年前。僕は仲間たちより一足早く死ぬことを予感した。そしてそのとおり、僕は皆より早く逝く。なんて無様な生き様だろうか。
「……れ…」
麗、とボスの名を呼んで、僕は―――死んだ。
僕の名を呼ぶ、ボスの声が聞こえた気がした。初めて呼ばれた、あのときの声が。柔らかくて、少しだけ強張ったような、緊張した声で。それでいて、甘い甘い優しい声で。
“葵さん”
柔らかく甘い、涙が零れた。
END
お題提供...scy.topaz.ne.jp/...酸性キャンディー
「疲れたな…」
簡単では合ったが、数が多かった。身体が重い。
(早く帰ろう)
嫌な予感はだんだん膨らんで来ていた。さっさと帰って、ボスを安心させたい。
―――だが、その願いは叶わなかった。
「っ…?!」
銃声。そして、肩に走った激痛。
―――撃たれた。
「くっ…」
まだ、残っていたのか。もう全員殺してしまったと思ったのに。
(どこだ…どこにいる…?)
姿が見えない。誰だ、誰が撃った? どこにいるのだ?
「ここだよ」
「!!」
自分の口から、どばどばっと血が吐き出される。後ろから、刺された。
「お、まえ―――ッ…!!」
「悪いね。こっちも任務なんだ」
見知った顔。嗚呼、敵対ファミリーの幹部の一人だ―――
「Ciao!」
走馬灯、なんて僕は見なかった。ただ、ボスの顔と同僚の顔が浮かんできただけ。
人は死んだ後が厄介で、とても迷惑をかける。僕も例外じゃない。
きっとボスを悲しませて、泣かしてしまうだろう。ボスの弟である泰はそれを見て胸を痛めるだろうし、ソルトさんは僕の遺体の処理や葬式の準備等で忙しくさせてしまうだろうし、レンはそれを手伝う。昴はきっと無表情に、僕とボスの為に花を買いにいくだろう。
「っ…」
―――三年前。僕は仲間たちより一足早く死ぬことを予感した。そしてそのとおり、僕は皆より早く逝く。なんて無様な生き様だろうか。
「……れ…」
麗、とボスの名を呼んで、僕は―――死んだ。
僕の名を呼ぶ、ボスの声が聞こえた気がした。初めて呼ばれた、あのときの声が。柔らかくて、少しだけ強張ったような、緊張した声で。それでいて、甘い甘い優しい声で。
“葵さん”
柔らかく甘い、涙が零れた。
END
お題提供...scy.topaz.ne.jp/...酸性キャンディー
なりきり掲示板で仲良くさせて頂いている曖沙sのオリキャラとコラボした短編。
オリキャラマフィアネタです。これだけだと意味がわからないですねry
曖沙sのブログのほうで、これの後日談が書かれています。勝手にリンク貼ります←
knight12.blog45.fc2.com/
こちらのほうが上手いです。いやマジで
オリキャラマフィアネタです。これだけだと意味がわからないですねry
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Profile
Name:在処(arika)
Sex:女
Birth:H7,3,22
Job:学生
Love:小説、漫画、和服、鎖骨、手、僕っ子、日本刀、銃、戦闘、シリアス、友情
Hate:理不尽、非常識、偏見
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