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せんそうとへいわ
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 一際目立つ少女が居た。

壁の花は暗殺者

 人形のように、という形容が正しい美貌を持つ少女が居た。細く流れるような黒髪に、鋭い金色の瞳。肌は陶器のように白く、黒髪がよく映えた。
 これまで何度もパーティ、舞踏会には訪れていたが、この少女を見るのは初めてだった。深い紫色のドレスがよく似合っている。
 彼女は幾度もダンスに誘われていた。だが、その美しい金色の瞳で睨みつけ、恐ろしいほどの殺気を一瞬だけ振りまき、全て断っている。どうやら壁の花を決め込むつもりらしい。本人の意思で来た様子ではなさそうだ。
 声をかけてみようか、とは何故だか思わなかった。今になって、それは自分が無意識のうちに、彼女の本質を察していたからだとわかった。ほんとうに、無意識で。
 パーティは終焉を迎えようとしていた。そのとき、照明が消えた。ざわめく人々、悲鳴を上げる貴婦人、落ち着いて、と叫ぶ主催者。それを、テラスから酷く冷めた目で眺めていた。
 照明が消えてから、二分も経っていなかった。金属音・・・刃物のような音を、耳が拾った。悲鳴と、何かが斬れるような音。びちゃ、という不快音も。
 そしてそれらが一斉に止んだ。瞬間、照明がついた。
―――血。
 パーティ会場は血の海と化していた。その血の海の中央に、あの人形のような美貌を持つ少女が立っていた。右手には、銀色に煌く剣。左手には、黒色に輝く拳銃。少女は鮮やかな紫色のドレスの裾を翻し、自分に近づいてきた。拳銃を血の海に投げ捨て、剣を振りかざし、そして―――
 ―――それからの記憶は、もうない。

FIN


fluid.hiho.jp/ap/...不在証明

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