昔と比べて、世賭はよく笑うようになった。にっこりと、微笑む。だけどその笑みは、ニセモノだ。
殺戮輪舞曲【サツリクロンド】
―――殺戮。むごたらしく多くの人を殺すこと。また、今の世賭がやっているようなこと。
―――輪舞曲。主題が同じ調で繰り返される間に異なる楽想の副主題が挿入されるもの。つまり、繰り返すこと。
―――翠。①翡翠(かわせみ)。②翡翠の羽の色。みどり。③世賭の幼馴染のこと。
私は静かに世賭の後姿を眺めた。世賭は優しい微笑を浮かべながら刀を振るって、人をたくさん殺している。
「もうやめれば、世賭。マジで世賭、おかしくなっちゃうよ」
もうなっているけど。
「うるさい」
「あ、そう」
世賭は笑みを浮かべながらそう言う。ニセモノの笑み。
「アリカはわかってない」
「は? わかりたくないし」
私は世賭と、昔みたいに接することが出来なくなった。ニセモノの笑みを浮かべて殺戮を繰り返す世賭と、昔みたいに接するなんて無理だ。
「私、先に帰るよ」
「好きにすればいい」
また、刺した。斬った。殺した。
「昔の私より酷いじゃない。いくらなんでも私、あんな殺しはしなかったよ」
私は一人でぶつぶつと呟く。血があまり好きじゃなかった世賭は、ならべく返り血を浴びないようにしていたけれど、今の世賭はばんばん浴びる。自ら浴びようとしている。信じられない、あんなの世賭じゃない。
にこにこニセモノの笑みを浮かべて殺戮を繰り返す世賭なんて世賭じゃない。誰だよ、アレ。私、あんなの知らない。
「なあ、アリカ。殺戮って楽しいな」
振り返りもせず殺戮を続けながら、世賭は私に言った。私は立ち止まらない、振り返らない、絶対に。何なの、黙れよ。消えてしまえ。お前なんか世賭じゃない。
こうやって人は壊れていくのだな、と私は思って、密かに泣いた。
「戻ってきてよ、翠」
生まれ変わってもう一度、世賭に逢いに来て。
END
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